What's new (2006年)
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mDia1は、SrcとApcの局在を調節してグリオーマ細胞の遊走を促進する!

細胞遊走は、器官形成、創傷治癒、炎症、癌転移など多くの生命現象の要である。
細胞は遊走刺激に応じ、移動方向前後で異なった形態(極性)を獲得し、アクチンや微小管などの細胞骨格を再編して、細胞接着斑を回転させながら方向性をもった移動(遊走)を行う。
遊走では様々な情報伝達経路が働くが、これまでの解析から、RhoファミリーのなかでCdc42が細胞極性の発現に、Racがアクチン網形成を介して細胞前縁での膜突出に働くことが明らかになっている。しかし、Rhoの役割には不明な点が多い。

今回、山名らは、Rat C6神経膠腫(グリオーマ)細胞の遊走におけるRho-mDia1経路の働きを解明した。
彼らは、ケモカインSDF1aに対する遊走やin vitroのwound-healing assayを用いて、C3酵素でRhoを不活化したり、RNAiでmDia1を枯渇したC6細胞では、移動の方向性と細胞体の移動の両方が障害されることを見いだした。

山名らは、さらに、mDia1枯渇細胞では、移動方向に向けた微小管の安定化や細胞前縁での活性化Cdc42やApc(adenomatous polyposis coli)の集積が阻害され、その結果として極性の阻害が起こること、また、mDia1枯渇細胞では細胞接着斑の回転が抑制され、その結果として細胞体の移動が阻害されていることを、明らかにした。

また、mDia1枯渇細胞では、活性化c-Srcの細胞接着斑への集積が阻害されるため、接着斑の回転が起こらないことも明らかになった。

以上の結果は、Rho-mDia1経路が、Apc、Cdc42の局在を制御して細胞極性の決定を行うとともにc-Srcの接着斑への集積を調節して細胞の移動に寄与するという細胞移動で中心的な2つの機能を果たしていることを明らかにしたものである。

山名らは、これらの結果を受け、現在、mDia1によるCdc42、Apcとc-Srcの各々の場所への集積の分子機構を解析している。

■control cell   ■mDia1 RNAi cell
 
     
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YFP-paxillinを用いて細胞接着斑を観察したところ、control cellでは接着斑のturnoverが起こっているにもかかわらず、mDia1 RNAi cellでは障害されていることが分かる。

( Yamana et al., Mol. Cell Biol., 26 6844-6858, 2006 )

 

関節リウマチでのプロスタノイドの役割

関節リウマチは関節を中心とした慢性炎症性疾患であり、患者の多くにリウマトイド因子などの自己抗体を認めることから自己免疫疾患の一つと捉えられている。
リウマチ患者の滑液中には多量のPGE2やPGI2が含まれていることが古くから知られており、病態形成への関与が示唆されていた。しかし、それらの働きの本質は明らかで無かった。

arthritis score

今回、本田らは、受容体欠損マウスをマウスコラーゲン誘発性関節炎モデルに用いることにより、この点を検討した。その結果、これまで想定されていたPGE2に加え、PGI2が、関節炎の発現に大きな役割を果たしていることを明らかにした。
右に示すように、PGI2の受容体であるIPの欠損マウスでは、関節炎の程度は著明に抑制される。

更なる解析の結果、PGE2もPGI2も滑膜細胞に働き、そこでのIL-6などのサイトカイン、血管新生因子VEGF、骨破壊因子RANKLなどの遺伝子の発現を増強して、炎症の増悪を起こしていることがわかった。
これらの結果は、関節炎の発症、進展におけるプロスタグランジンの重要性を明らかにしたもので、今後の関節炎治療の方向性に示唆を与えるものである。

関節リウマチにおけるシグナルの作用

( Honda et al., J. Exp. Med., 203, 325-35, 2006 )